福祉用具専門相談員の資格があれば働ける?

福祉用具専門相談員の資格があれば働ける?

更新日: 2023/07/20

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藤井 寿和

この記事を書いたのは

介護福祉士:藤井 寿和

藤井 寿和(ふじい ひさかず)は20代で介護福祉士やデイサービスの管理者を経験。35歳で独立し合同会社「福祉クリエーションジャパン」の代表となる。 現在、介護業界施設のコンサルタントや介護業界人材の育成・研修をしながら、介護専門メディアの記事執筆や監修も手掛けている。

福祉用具専門相談員とは、福祉用具に関するアドバイスを行う専門家です。利用者の心身の状態などから適切な福祉用具を提案します。

ここでは、福祉用具専門相談員のなりかたや仕事内容、将来性について解説していきます。

福祉用具専門相談員になるための「福祉用具専門相談員指定講習」を受講できるスクールも紹介しますので、取得したい方は参考にしてください。

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福祉用具専門相談員とは

高齢女性を車椅子に乗せる女性介護士 福祉用具専門相談員の資格イメージ

福祉用具専門相談員の資格とは、高齢者の方が、介護保険を使って福祉用具を利用するときに、その方の状況にあった福祉用具を選定したり、用具の適切な利用をお手伝いするための専門資格です。公的資格ではありますが、国家資格ではありません。

介護保険制度における福祉用具貸与事業を行う事業所では、2名以上の配置が義務付けられています。

資格を取得するには50時間の講習を受講し、最後に修了評価試験(筆記)を受ける必要があります。受講資格は特にないので、どなたでも受講可能です。

福祉用具専門相談員になるには

福祉用具専門相談員指定講習を受講する

福祉用具専門相談員になるには、各都道府県の指定を受けたスクール等で「福祉用具専門相談員指定講習」を修了する必要があります。

ただし、介護福祉士、社会福祉士、保健師、看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士の資格所有者に関しては、講習を受けなくても福祉用具専門相談員として業務にあたることができます

以前は初任者研修などの資格所有者も福祉用具専門相談員として認められていました。しかし、2015年の介護保険制度改定以降は認められなくなりましたので、上記の資格を持っていない方は講習を受ける必要があります。

福祉用具専門相談員指定講習の受講資格

福祉用具専門相談員指定講習に受講資格はありませんので、どなたでも受講可能です。

ただし、スクールによっては基礎的な介護資格を保有しているなどの条件を設けている場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

福祉用具専門相談員指定講習のカリキュラム

福祉用具専門相談員指定講習は50時間のカリキュラムで構成されています。受講期間は6〜8日程度です。

▽[福祉用具専門相談員]講習の科目および時間数(計50時間)

項目 時間数
福祉用具と福祉用具専門相談員の役割 2
介護保険制度等に関する基礎知識 4
高齢者と介護・医療に関する基礎知識 16
個別の福祉用具に関する知識・技術 16
福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識 7
福祉用具の利用の支援に関する総合演習 5

修了評価試験に合格する

福祉用具専門相談員指定講習の最後には、修了評価試験が行われます。

合格すると「修了証明書」を受け取ることができます。

福祉用具専門相談員講習はオンラインでも受講できる?

全カリキュラムがオンライン受講可能な講座もある

福祉用具専門相談員講習のなかには、講座から修了試験までオンラインで受講できる講座もあります

福祉用具専門相談員講習は開講している機会が少ないので、通える範囲で参加できる講習が無い場合はオンラインの利用も検討してみるとよいでしょう。

福祉用具専門相談員資格の難易度は?

合格率はほぼ100%

福祉用具専門相談員指定講習の修了評価試験は、講習の内容の習熟度をはかるためのものです。そのため、受験生をふるいにかける試験とは異なり、講習の内容をしっかりと理解していればそれほど難しくありません

合格率は公開されていませんが、ほぼ100%といわれています。

不合格でも補講や再試験がある

試験に落ちてしまっても再挑戦が可能です。

スクールなどに向けた実施要項には「「到達目標」に示された知識・技術等の修得が充分でない場合には、事業者は必要に応じて補講等を行い、到達目標に達するよう努めること。」とあり、スクールは受講生が試験に合格するようサポートすることが定められています。

そのため、「試験に合格できず取得をあきらめる」ということは無いといっていいでしょう。

福祉用具専門相談員の仕事内容

自宅介護をする女性介護士

選定相談

利用者の心身の状態や使用環境から、一人ひとりに適した福祉用具を提案します。

2018年10月に福祉用具の貸与額に上限が設定されたことにより、福祉用具を提供する事業者は利用者に対して、当事業者の貸与価格と全国平均貸与価格の両方を説明する義務が課せられています。

利用計画作成

ケアマネジャーのケアプランと利用者やご家族との相談内容をもとに「福祉用具の利用計画(福祉用具サービス計画)」を立てます

福祉用具の利用計画は「福祉用具を使用することで今後の生活をどう改善していくのか」をもとに、どのような福祉用具をレンタルしていくのかを記述します

この計画書に利用者が同意することで、福祉用具のレンタルが可能になります。

適合・取扱説明

実際に貸し出す福祉用具を、利用者に合わせて調整します。

また、「福祉用具サービス計画書」に基づき、取扱説明や故障時の対処法なども説明する義務があります。

モニタリング(訪問確認)

福祉用具を貸し出した利用者を定期的に訪問して、福祉用具の点検や利用状況の確認をします。

モニタリングは年2回おこなうことが義務付けられています。

福祉用具専門相談員の仕事はきつい?

福祉用具専門相談員の仕事はきついという声を耳にします。ここでは、福祉用具専門相談員の仕事できついと感じる点について解説します。

身体的な負担がかかる

福祉用具は利用者の身体を支えるため、基本的には重量があります。そのため、福祉用具を搬入したり組み立てる福祉用具専門相談員の仕事は身体的な負担がかかります

エレベーターのない古い集合住宅などで重い福祉用具を運んで往復したり、腰痛になってしまうことで、福祉用具専門相談員の仕事がきついと感じる方がいるようです。

営業ノルマにストレスを感じる

職場によっては、福祉用具専門相談員に新規の契約件数や営業回数のノルマを課すところもあります

営業が苦手な人にとっては営業のプレッシャーがストレスになり、仕事がきついと感じるようです。

ノルマの有無に関しては採用面接の段階で事前に確認しておくとよさそうですね。

コミュニケーション能力が求められる

福祉用具専門相談員の仕事は利用者の方だけでなく、その家族やケアプランを考えるケアマネジャーとの関係構築も大切な仕事です。

特にケアマネージャーは、利用者さんやご家族との距離が近く責任ある立場であるため、信頼のおける営業しか受け入れてもらえない可能性があります。そのため、日ごろからコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておく必要があります。

また、高齢の利用者でも最新の福祉用具を扱えるように、根気強く、わかりやすく伝える努力が欠かせません。

このようなコミュニケーションが億劫だと感じる方は、福祉用具専門相談員の仕事をきついと感じやすいでしょう。

福祉用具専門相談員の年収・給料

お金

福祉用具専門相談員の正社員の平均年収は約280〜350万円で、一般的な介護職員とさほど変わりありません。

月収では約月給17〜35万円ほどです。

介護福祉士など他の介護資格を取得したり、営業で業績をあげたりすることで収入アップを見込めます。

福祉用具専門相談員の将来性

福祉用具専門相談員の資格で就職できる?

福祉用具専門相談員の業務ができるかどうかは、福祉用具専門相談員講習の他、持っている介護・福祉資格によって異なります。

〇福祉用具専門相談員の業務ができる資格
・福祉用具専門相談員の指定講習を修了した方
・福祉用具に関する知識があるとみなされる国家資格をお持ちの方
【該当国家資格】
介護福祉士、社会福祉士、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士

〇福祉用具専門相談員の業務ができない資格
・ホームヘルパー2級・1級
・介護職員基礎研修
初任者研修
※注)2015年4月1日の制度変更により、福祉用具専門相談員の業務ができなくなりました。そのため、福祉用具専門相談員の資格を取得しなければなりません。

福祉用具専門相談員 資格取得による就職状況

福祉用具専門相談員の資格取得により就職は可能ですが、ヘルパー募集などに比べると求人募集はあまり多くはありません。また、福祉用具サービスの営業活動を行う際に車での移動機会も多く、「普通自動車免許」が必須条件となっている場合や採用条件の所有資格として「初任者研修」が含まれている場合もあります。

まだ介護系資格を何もお持ちでない方であれば、まず初任者研修の資格取得を検討されることをおすすめします。その上で福祉用具専門相談員の資格取得をすれば、より資格価値も高まり、介護業界でのキャリアアップやご自身の介護業界における人材価値にもつながるはずです。求人エントリーできる幅も広がるでしょう。

制度変更で資格の価値は向上

福祉用具専門相談員の資格を取得していれば即就業につながるという資格ではありませんが、介護保険の指定福祉用具貸与・販売事業所では常勤で2名以上の福祉用具専門相談員の配置が義務づけられており、福祉用具に関する仕事を希望される方であれば持っていて損はありません。

制度改正により福祉用具専門相談員の仕事を行なえる方が限定されたため、今後さらに福祉用具専門相談員への注目度、資格取得の価値が高まることも予想されます。

特に、福祉用具を製造している民間企業や福祉用具のレンタルやリースを行う会社を中心に、求人募集が増えることがあるかもしれませんね。

福祉住環境コーディネーター資格取得もおすすめ

福祉用具専門相談員が勤めることが多い福祉用具のレンタル事業所は、住宅の改修などの建築関連を行っているケースも多く、ステップアップとして福祉住環境コーディネーター資格取得もおすすめです。

福祉住環境コーディネーターには1級から3級までありますが、キャリアアップや就職を目指す場合は、少なくとも2級まで勉強しましょう。特に受験資格がないのが特徴で、3級を受けてなくても2級の受験が可能です。

福祉用具専門相談員のおすすめスクール

教室

福祉用具専門相談員の指定講習は、都道府県で指定を受けた研修機関で受講することができます。受講資格は特にないので、どなたでも受講可能です。開講スクール別に受講費用、受講期間、スクール拠点情報をまとめましたので、スクールを選ぶ際の参考にしてみてください。

▽福祉用具専門相談員 開講スクール一覧

スクール名 受講料(税込) / 受講期間 スクール拠点 資料請求
藤仁館医療福祉カレッジ 59,800円
/7日間
【関東】
池袋教室(東京都豊島区西池袋)
大宮教室(埼玉県さいたま市大宮区大門町)
南浦和教室(埼玉県さいたま市南区南浦和)
熊谷教室(埼玉県熊谷市筑波)
資料請求
三幸福祉カレッジ 69,120円
/7日間
【関東】
千葉教室(千葉県千葉市中央区富士見)
横浜教室(神奈川県横浜市西区北幸)
【東海】
静岡教室(静岡県静岡市葵区追手町)
名古屋駅前教室(愛知県名古屋市中村区名駅)
【中部・四国】
米子教室(鳥取県米子市東町)

※時期により開講教室が異なる場合あり。
資料請求
EDC医療福祉学院 66,590円
/7日間
仙台校
盛岡校
資料請求
日本キャリアパスアカデミー 47,520円
/6日間
浦和本校(埼玉県さいたま市浦和区高砂) 資料請求
ユウコム総合学院 43,200円
/7日間
西京極校(京都府京都市右京区西京極南大入町)

※開講スケジュールの最新情報は、パンフレットなどでも確認してみてください。
資料請求
キャリア福祉カレッジ 34,000円
/8日間
キャリア福祉カレッジ本校(香川県高松市林町) 資料請求

以下スクールでも講座を開講しています。

◎未来ケアカレッジ:
【関東】
新宿校(東京都新宿区西新宿)
池袋校(東京都豊島区池袋)
北千住校(東京都足立区千住中居町)
錦糸町校(東京都墨田区江東橋)
町田校(東京都町田市原町田)
横浜校(神奈川県横浜市西区北幸)
大宮校(埼玉県さいたま市大宮区宮町)
【東海】
名古屋駅前教室(愛知県名古屋市中村区椿町)
千種教室(愛知県名古屋市東区葵)
刈谷教室(愛知県刈谷市桜町)
岐阜教室(岐阜県岐阜市東金宝町)
四日市教室(三重県四日市市三栄町)
【近畿】
梅田教室(大阪府大阪市北区太融寺町)
京橋教室(大阪府大阪市都島区片町)
天王寺教室(大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋)
枚方教室(大阪府枚方市大垣内町)
布施教室(大阪府東大阪市長堂)
堺東教室(大阪府堺市堺区新町)
三宮教室(兵庫県神戸市中央区八幡通)
姫路教室(兵庫県姫路市豊沢町)
難波教室(大阪府大阪市浪速区難波中)
吹田千里丘教室(大阪府吹田市千里丘下)
京都教室(京都府京都市南区八条通大宮西入ル八条町)
草津教室(滋賀県草津市若竹町)
【九州】
博多教室(福岡県福岡市博多区博多駅東)

◎サンシャイン総合学園 札幌校:
札幌校(北海道札幌市中央区北5条西)

◎福祉研究カレッジ:
天神校(福岡市中央区大名)
熊本校(熊本県熊本市中央区新大江)

※スクールによっては期間限定のキャンペーン割引などもあります。詳しくは、パンフレットにて最新情報を確認してみてください。

まとめ

福祉用具専門相談員は、利用者の心身の状態などから適切な福祉用具を提案する福祉用具の専門家です。

各都道府県の指定を受けたスクール等で「福祉用具専門相談員指定講習」を修了し試験に合格すると取得できます

講習は誰でも受けられるうえ、6〜8日で修了できるので、短期間でスキルアップしたい方におすすめです。

監修者について

藤井寿和

藤井  寿和 Hisakazu Fujii

静岡県西伊豆生まれ。
●合同会社福祉クリエーションジャパン 代表
●介護施設 現場支援コンサルタント
●一般社団法人 日本アクティブコミュニティ協会  公認講師
●介護情報誌「TOWN介護Tokyo」  編集長
●NPO 16歳の仕事塾  社会人講師
●株式会社 是眞  編集長

【保有資格】
●介護福祉士
●ホームヘルパー1級・2級
●レクリエーション介護士1級・2級
●社会福祉主事任用資格
●福祉用具専門相談員
●介護予防運動指導員
●音楽健康福祉士
●音楽レクリエーション指導士3級
●防火管理者
●大型自動車1種免許

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