ケアマネジャー(介護支援専門員)の受験資格とは?試験内容や必要な書類も紹介

ケアマネジャー(介護支援専門員)の受験資格とは?試験内容や必要な書類も紹介

更新日: 2024/01/16

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青木 直士

この記事を書いたのは

介護福祉士:青木 直士

神奈川県横浜市生まれ
高校卒業後、専門学校に通い介護福祉士を取得。20代の間は特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームで勤務。特別養護老人ホームではユニットリーダーを経験。1年半病気を患い現場からは離れてしまったが、現在はフリーランスとして活動中。Webサイト運営に悩む企業のお手伝いをしております。

はじめに

ケアマネジャー(介護支援専門員)の試験を受けるには、厚生労働省が定める法的資格を取得しないと受けることはできない」という内容を目にしますが事実です。

とはいえ、

  • 「ケアマネジャーの受験資格があるのか確認したい」
  • 「ケアマネジャーの資格を取得したい」
  • 「介護業界でキャリアアップを図りたい」

という悩みを抱えているでしょう。そこでこの記事では、介護業界で9年間勤務してきた私の経験から、ケアマネジャーの受験資格に関する悩みを解決します。

この記事を読むことで、ケアマネジャーの受験資格の有無について理解できるはずです。ぜひ最後までご一読ください。

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ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格は公的資格である

高齢男性と高齢女性にパソコンを見ながら案内する女性

厚生労働省で定義されているケアマネジャー(介護支援専門員)の定義は以下のとおりです。

介護支援専門員とは、要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じるとともに、サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う者とされています。

ケアマネジャーの資格は、各都道府県が管轄している公的資格です。資格を取得するためには、介護支援専門員実務研修試験に合格する必要があります。

試験に合格後、介護支援専門員実務研修(研修時間は87時間)修了することで資格が取得できます。介護支援専門員実務研修試験の開催日は、毎年10月頃です。試験は1年に1回しか行われません。

ケアマネジャーの受験資格について

パソコンを操作する女性

2018年以降の試験から適用される新制度では、以下の業務の通算年数が5年以上必要です。

国家資格を保有している人

以下のいずれかの資格を保有し、業務の実務経験が通算5年以上、従事した日数が900日以上であれば受験資格を得られます。

【該当資格】
医師,歯科医師,薬剤師,保健師,助産師,看護師,准看護師,理学療法士,作業療法士,社会福祉士,介護福祉士,視能訓練士,義肢装具士,歯科衛生士,言語聴覚士,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師,柔道整復師,栄養士,管理栄養士,精神保健福祉士

相談援助業務などに従事している

相談援助業務に従事した期間が5年以上かつ従事日数が900日以上であれば、介護支援専門員実務研修試験を受験できます。対象となる相談援助業務は以下のとおりです。

相談援助業務 対象
生活相談員 特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
介護老人福祉施設
介護予防特定施設入居者生活介護などにおける生活相談員としての業務
支援相談員 介護老人保健施設における支援相談員としての業務
相談支援員専門員 計画相談支援、障害児相談支援における相談支援専門員としての業務
主任相談員 生活困窮者自立相談支援事業などにおける主任相談支援員としての業務

参照:相談援助業務に従事する者

【職種別 】ケアマネジャーの受験資格の日数

職種別にケアマネジャーの受験資格を取得するまでの日数について紹介します。

介護福祉士から受験する場合

介護福祉士の資格をすでに取得している場合、ケアマネジャーになるには介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。介護支援専門員実務研修受講試験を受けるためには、最低でも5年の実務経験が必要です。

厚生労働省が定めている介護支援専門員(ケアマネ―ジャー)の資質向上に関する基準として、実務経験が5年以上であり、900日以上の勤務を要件としています。介護福祉士の資格を持っている方は、実務経験の年数を計算しましょう。パートタイムや非常勤の場合でも、実務経験が要件を満たしていればケアマネージャーの試験を受けられます。

ただし、2018年以降、介護福祉士の資格を取得する前に行った介護業務は実務経験としては認められません。また、育児休業中などの期間は実務日数には含まれないため、注意してください。

社会福祉士から受験する場合

社会福祉士からケアマネジャーの受験資格を得るためには、5年以上の実務経験が必要です。社会福祉士は、2018年以降の試験から適用される新制度において国家資格の対象となっています。したがって、受験資格を得るためには、実務経験が通算5年以上で、従事した日数が900日以上必要です。

看護師・准看護師から受験する場合

看護師や准看護師からケアマネジャーになるためには、看護師としての実務経験が5年以上あるか、もしくは従事日数が900日以上であれば試験を受けられます。

2015年までは、看護師の取得者は特定の科目が免除されていました。しかし、2015年以降はケアマネージャーの質の向上のため廃止となり、看護師であってもすべての科目を受ける必要があります。

看護助手から受験する場合

看護助手からケアマネジャーの資格取得を目指す場合、まず法定資格を取得する必要があります。

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、管理栄養士(栄養士を含む)、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、精神保健福祉士

上記のうち1つでも資格を保有したうえで、5年以上の実務経験または、従事した日数が900日以上であれば受験できます。ただし、相談援助業務の実務経験が5年以上あれば、受験することも可能です。

医療事務から受験する場合

医療事務として受験する場合、看護助手と同じように、法定の資格を取得する必要があります。法定の資格を取得した後、実務経験5年以上または従事日数900日以上あれば、介護支援専門員実務研修受講試験を受けられます。ただし、相談援助業務の実務経験が5年以上あれば、受験することも可能です。

栄養士・管理栄養士から受験する場合

栄養士と管理栄養士は、法定資格に該当するため、5年以上の実務経験または、従事日数900日以上であれば試験を受けられます。もし、実務経験がなくても相談援助業務の実務経験が5年以上であれば、受験可能です。

作業療法士から受験する場合

作業療法士は法定資格に該当するため、5年以上の実務経験または、従事日数900日以上であれば試験を受けられます。資格を取得していなくても、相談援助業務の実務経験が5年以上あれば、受験可能です。

歯科衛生士から受験する場合

歯科衛生士は、法定資格です。そのため、5年以上の実務経験または、従事日数900日以上であれば試験を受けられます。資格を取得していなくても、相談援助業務の実務経験が5年以上あれば、受験可能です。

精神保健福祉士から受験する場合

精神保健福祉士も法定資格です。そのため、5年以上の実務経験または、従事日数900日以上であれば試験を受けられます。資格がなくても、相談援助業務の実務経験が5年以上あれば受験可能です。

柔道整復師から受験する場合

柔道整復師も法定資格なので、5年以上の実務経験または、従事日数900日以上であれば試験を受けられます。資格がなくても、相談援助業務の実務経験が5年以上あれば、受験可能です。

ケアマネジャーの受験資格で悩んだら問い合わせしよう

介護支援専門員の受験資格については、各都道府県の実施案内ページを参照ください。令和5年度都道府県別担当課一覧から該当のページに移動できます。ページには、受験資格や受験手数料、試験に関する問い合わせ先などが記載されています。

受験資格について不明な点があれば、介護支援専門員実務研修受講試験実施本部に直接電話をすると良いでしょう。

ケアマネジャーの受験資格には実務経験証明書が必要

ケアマネジャーの受験には、実務経験証明書または実務経験(見込)証明書の提出が必須となります。実務経験(見込)証明書とは、試験前日までに該当日数を満たす予定であれば、見込み証明書を提出することで受験資格を得られるという書類です。

実務経験証明書の形式については、各都道府県の介護支援専門員実務研修受講試験ページからダウンロード可能です。ダウンロードした書類に記載する際には、記入例を参照して正確に記入しましょう。

ケアマネジャーの受験資格である実務経験の計算方法

「実務経験5年」という表現がでてきますが、正確には、当該業務が「通算して5年以上であり、かつ、当該業務に従事した日数が900日以上であること」を指します。実務経験は、試験前日までカウント可能です。申し込み時点で実務経験が足りていなくても、「実務経験見込証明書」を提出することで、受験することができます。ただし、研究業務、教育業務、事務、営業等はカウントされないので注意しましょう。

従事期間が正確にわからない方は、従事期間計算表で利用すると簡単にわかります。

ケアマネジャーの試験内容

ケアマネジャー試験は、「介護支援分野」「保健医療福祉サービス分野」の2つの分野から出題されます。

分野(問題数) 試験内容
介護支援分野(25問) 介護保険制度の基礎知識
要介護認定等の基礎知識
居宅・施設サービス計画の基礎知識等
保健医療福祉サービス分野(20問) 保健医療サービスの知識等の内容2
福祉サービス分野(15問) 福祉サービスの知識等

試験全部の問題数は、合計で60問で試験時間は120分です。

2023年度のケアマネジャー試験日程と過去の合格率

2023年度のケアマネジャー試験日程と過去の合格率について解説します。

試験日程

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)は年に1回実施されており、例年10月の中旬〜下旬頃に行われています。
2023年度のケアマネジャー試験概要は、2023年4月以降に発表されました。

申し込みの手順や試験対策について詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

合格率

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の合格率は10〜20%前後で、介護系資格の中でも難易度の高い試験として知られています。
直近5年間の合格率は以下の通りです。

実施年 合格率
2019年度(第22回) 19.5%
2020年度(第23回) 17.7%
2021年度(第24回) 23.3%
2022年度(第25回) 19.0%
2023年度(第26回) 21.0%

ケアマネジャーの試験に合格するには100時間から200時間必要とされている

勉強する様子

ケアマネジャーの試験に合格するためには、おおよそ100時間から200時間の勉強時間が求められています。試験は年間を通して10月頃に行われます。たとえば、200時間の学習時間を計画している人が、1日に2時間の学習しか設けられない場合、5月頃から試験対策を開始しなくてはいけません。また、1日の学習時間の設定が難しい方は、可能な限り早くから試験対策を開始すると良いでしょう。

青木 直士

試験対策を効率よく進めたい方は、養成所で開かれる試験対策講座がおすすめです。試験対策講座の申し込みは、毎年5月から6月中旬までとなっています。したがって、ケアマネジャーの試験に挑むことを考えている人は、早い時期から行動を始めることが重要です。

最短でケアマネジャーの受験資格を取得する方法

ケアマネジャーの受験資格を最短で取得する方法として、介護福祉士の資格取得、あるいは相談援助業務に携わることが推奨されます。無資格から介護福祉士の資格を取得するには、最短で3年を要します。そして、ケアマネジャーの受験資格を得るには、介護福祉士取得後の実務経験が必要となるため、受験資格を取得するまでには最低でも8年が必要です。

相談援助業務においては、5年以上の経験と900日以上の従事日数を満たせば、ケアマネジャーの試験に受験できます。ただし、介護福祉士の資格がなければ相談援助業務を担当することは難しいでしょう。

このため、ケアマネージャーの受験資格を最短で取得するためには、介護福祉士の資格を取得し、実務経験を積むという流れが効率的です。「ケアマネジャーになるには最短で5年か8年って本当ですか?」の記事では、さらに受験資格を最短で取得する方法を紹介しています。あわせて参照してください。

ケアマネジャーの受験資格は2018年から変更された

白いシャツを着た笑顔の女性

ケアマネ(介護支援専門員)試験の受験資格は、2018年以降の試験から一部変更がありました。

実務経験を満たして受験する制度が廃止

1つ目は、介護等業務で実務経験を満たして受験する制度が廃止になったことです。
以前は、無資格で介護業務経験10年以上の方も受験資格がありましたが、現在その制度は廃止となっています。

国家資格等の保有者に対する試験科目の免除制度が廃止

2つ目は、解答免除の廃止です。以前は、特定の国家資格等を取得していれば一部科目の免除が受けられました。しかし、現在は国家資格取得者もすべての科目を受験することが必須となっています。

ケアマネジャー(介護支援専門員)について詳しく知りたい方は『ケアマネジャー(ケアマネ・介護支援専門員)とは?』のページをご覧ください。

ケアマネジャーの受験資格に関するよくある質問

ケアマネジャーの受験資格に関するよくある質問に回答します。

ケアマネジャーは資格だけ取ることもできますか?

ケアマネジャーの資格は、取得だけでも問題ありません。資格を得た後で業務を行わない選択も自由です。ただし、資格を維持するためには、5年ごとに更新研修を受講しないと資格が失効してしまいます。ケアマネジャーとしての勤務が不可能になるため、注意してください。

2023年のケアマネジャー試験の受験資格は?

2023年の試験における受験資格は、法定資格を保有し、かつ実務経験が5年以上、さらに相談援助業務の実務経験も5年以上ある方となります。

ただし、2023年のケアマネージャー試験の申し込みは既に6月末日で締め切りました。従って、次回受験を検討する方は2024年の試験を対象とする必要があります。

5年以上かつ900日とはどういう意味ですか?

5年以上かつ900日とは、受験資格を得るための実務に従事した日数になります。休日、年次有給休暇、病気、休職、育児休業等で業務に従事しなかった日は含まれていません。

ケアマネジャーの資格を取得するメリットはありますか?

ケアマネジャーの資格を取得するメリットは、以下のとおりです。

  • 利用者様の生活の質を向上させることに直接関われる
  • 介護職員の頃よりも夜勤回数が減るので身体的負担が軽減される
  • 収入アップを見込める
  • 介護業界で一目置かれた存在になれる

介護業界でさらに活躍したい方や年収をアップさせたい方は、ケアマネジャーの資格取得を検討すると良いでしょう。

まとめ:ケアマネジャーの受験資格は保有している資格で異なる

以上がケアマネジャーの受験資格についての解説です。ケアマネジャーの受験資格取得には、特定の法的資格を持つことと、5年以上、合計900日以上の実務経験が必要です。

法的資格をまだ持っていない方は、まず介護福祉士の資格を取得することから始めてみてください。ケアマネジャーの試験は難易度が高く、毎年の合格率も低いため、挑戦する前には養成所を活用して十分な試験対策をおすすめします。

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